「英語の立教」は次のステージへ—深化する英語教育カリキュラム
立教大学
2021/10/29
RIKKYO GLOBAL
OVERVIEW
日本にいても多様なバックグラウンドを持つ人々との出会いが当たり前になった今、英語を使って協働し、課題を解決する力がさまざまな分野で求められています。
「英語の立教」と称されてきた本学では、これまでも先進的な英語教育を展開してきました。
2020年度からスタートした新しい英語教育カリキュラムでは、さらに一歩進んだ科目を導入し、より実践的な英語運用能力を備えたグローバルリーダーの育成を目指しています。
4技能の重視と、専門領域を英語で学ぶ仕組みの整備。新カリキュラムで、英語力+αを獲得しよう。
立教大学外国語教育研究センター センター長/教授 新多了 NITTA Ryo
「実践的な英語力を備えたグローバルリーダーの育成を目指す新しい英語教育カリキュラムのベースにあるのは、英語4技能のさらなる重視です。英語でコミュニケーションを行う時、『読む』『聞く』だけでは不十分であり、『書く』『話す』というアウトプット?スキルを含めて、4技能を合わせて使う力が求められます」。立教大学外国語教育研究センターの新多了教授はこう語ります。
「アウトプットは文法への意識を高め、自分の英語力の『穴に気づく』機会を与えてくれます。よって、早い段階からアウトプットを行い、英語4技能を統合的に学ぶことが重要なのです」
こうした考えから、2020年度にスタートした新カリキュラムでは1年次の必修に「英語ディベート」科目を設置するなど、アウトプットにより重点を置いた教育を展開。また、英語4技能を学ぶ意欲がある学生の入学を促進するべく、2021年度入試から民間の英語資格?検定試験を導入しています※1。
新カリキュラムのもう一つの特色が、「専門領域を英語で学ぶ」仕組みの整備。専門科目を英語で開講する「学部EMI※2科目」を充実させるとともに、その前段階として、教科学習と言語学習を組み合わせた「CLIL※3科目」を展開します。このように、4年間を通して着実に英語力を伸ばす仕組みを構築しています。
「アウトプットは文法への意識を高め、自分の英語力の『穴に気づく』機会を与えてくれます。よって、早い段階からアウトプットを行い、英語4技能を統合的に学ぶことが重要なのです」
こうした考えから、2020年度にスタートした新カリキュラムでは1年次の必修に「英語ディベート」科目を設置するなど、アウトプットにより重点を置いた教育を展開。また、英語4技能を学ぶ意欲がある学生の入学を促進するべく、2021年度入試から民間の英語資格?検定試験を導入しています※1。
新カリキュラムのもう一つの特色が、「専門領域を英語で学ぶ」仕組みの整備。専門科目を英語で開講する「学部EMI※2科目」を充実させるとともに、その前段階として、教科学習と言語学習を組み合わせた「CLIL※3科目」を展開します。このように、4年間を通して着実に英語力を伸ばす仕組みを構築しています。
「こうした学びを通して、英語力だけでなく、『深く考える力』を身に付け、新しい価値観や物の見方?考え方を養ってほしいと願っています」
※1 大学入学共通テストの英語成績も利用可能。
※2 EMI:English as a Medium of Instruct ion
※3 CLIL:Content and Language Integ rated Learning
※1 大学入学共通テストの英語成績も利用可能。
※2 EMI:English as a Medium of Instruct ion
※3 CLIL:Content and Language Integ rated Learning
1年次の英語教育——英語4技能+発信力?思考力の向上
必修に「英語ディベート」科目を新設
1年次の英語必修科目は、「リーディング&ライティング」「英語プレゼンテーション」「e-learning」に加え、1クラス10人程度の少人数で行う「英語ディスカッション」、そして新カリキュラムで設置した「英語ディベート」で構成。英語4技能を総合的に学びながら、英語による発信力や思考力の向上を目指します。
Point1 スピーキング力のその先を
2016年度にスタートした、少人数で行う「英語ディスカッション」科目は、英語に不慣れな学生に積極的な会話を促す点で大きな効果がありました。英語を話す=スピーキング力に加えて、自分で考える力や物事を批判的に見る力、対話しながら議論を発展させる力を育成するために、1年次の必修に「英語ディベート」科目を追加しました。
Point2 現代社会で求められる力
社会問題などをテーマに、20人程度で賛成派と反対派に分かれて討論を行う「英語ディベート」科目。ここで目標とするのが、正解が一つでない問いに対して論理的に結論を導き出す「クリティカル?シンキング」。現代のように変化の激しいグローバル社会において不可欠な力です。
Point3 ディベートで鍛えられる力
批判的思考力以外にも、ディベートを行うには膨大な情報の中から適切な情報を探し出す「情報収集力」が必要です。また、それをベースに論理的に主張を組み立てる「論理的思考力」も重要。これらの力を英語力とともに身に付けるのが「英語ディベート」科目です。物事を追究する喜びや、チーム一丸となって取り組む楽しさを体験する機会にもなることでしょう。
学生の声 Student’s voice
2020年度秋学期に「英語ディベート」科目を履修した学生の声をご紹介します。
解決策は一つではないと気付き、複合的に考える力の大切さを実感
法学部国際ビジネス法学科2年次 野澤 愛子 さん
法学部国際ビジネス法学科2年次 野澤 愛子 さん
1 高校時代、英語は得意でしたか?
部活動に夢中で、勉強熱心とは言いがたい高校時代を過ごしました。英語に関しても大学受験の時に苦労したので、立教に入学したら授業についていけるか不安でした。実際には、1年次の英語必修科目はレベル別クラスで開講されるため、自分の英語力に合ったクラスで安心して学ぶことができました。大学に入るまで未経験だったディベートの授業でも、気後れすることは全くありません。2 ディベートのテーマ「レジ袋の有料化」について
私のチームは肯定側の立場に立ち、その理由として、レジ袋の有料化によってマイバッグを持参する人が増えること、街中でのポイ捨てやプラスチックごみの削減につながることを挙げました。根拠となるデータは、新聞記事や公的機関の資料などを調べて情報収集。有料化後、マイバッグを持ち歩く人の数が増えたという調査結果や、プラスチックごみが海洋汚染を引き起こしている実態を基に、自分たちの主張を組み立てました。3 授業を通して自分が成長したと感じること
テーマの背景について調査する過程で、情報収集力や思考力が伸びたと感じています。「レジ袋の有料化」について否定側のチームから、「レジ袋は石油精製時に発生するポリエチレンで作られるため、資源の有効活用になっている」という意見が出た時は、レジ袋をなくすことだけが問題の解決策ではないと気付かされました。こうした複合的に考える力も、ディベートを通して得たものです。4 今後、英語を使ってチャレンジしたいこと
まずは、法学部の「オックスフォード?サマープログラム」に参加することです。これは、イギリス?オックスフォード大学の寮で過ごし、現地の先生方から直接英語で西洋文化やイギリス法について学ぶプログラム。ディベートで培った英語力と議論する力を生かして、また新たなことを吸収し、日本とは異なる価値観に触れ、広い視野で世界を捉えることのできる自分になりたいと思います。5 My Learning Point
内容を簡単な英文にして要点をつかむ「英語ディベート」では、自分の意見を英語で話すスピーキング力や、相手の主張(英語)を聞き取るリスニング力も重要だと感じました。それを伸ばすために私が心掛けたのは、ライティング。「自分の主張はこうで、その理由はいくつあり、内容はこれ」という簡単な英文を作ることです。それによって相手が発言している時も、主張は何か、根拠は何かという要点がつかみやすくなると同時に、英語力が総合的に向上しました。
2~4年次の英語教育——「英語を学ぶ」から「英語で学ぶ」へ
「CLIL科目」を新設
2~4年次の英語教育においては「専門領域を英語で学ぶ」ための仕組み作りを重視しています。立教大学では、学部の専門分野を英語で学ぶ「学部EMI科目」を各学部で展開。こうした、高度な英語力?思考力が求められる学びへの橋渡しとなるのが「CLIL科目」です。
Point1 段階的に英語力を高める
1年次の必修科目で英語によるコミュニケーション力や思考力を鍛え、2年次以降は自分のレベルに合わせて「CLIL科目」を履修し、徐々に専門性を高めながら「学部EMI科目」へと進んでいく。このように、新カリキュラムでは4年間を通じて、目的意識を持って継続的かつ段階的に学びを進められる仕組みを構築しています。
Point2 「内容」「言語」の両方を学習
「CLIL科目」とは、教科内容(Content)+言語(Language)を組み合わせた教育アプローチで、「内容言語統合型学習」とも呼ばれます。「グローバル?コミュニケーション領域」「グローバル?スタディーズ領域」「グローバル?キャリア領域」の3領域で構成され、「言語」から「内容」へと色を変えながら、「学部EMI科目」に向けて土台となる力を養います。
Point3 グローバルな活躍を見据えて
段階的に英語学習を進めていく上で、大学における一つの到達点は何か。それは、卒業後に専門性を生かしてグローバルな環境で活躍することを見据え、学部の専門領域を英語で学ぶことだと立教大学は考えています。グローバルリーダーの育成を目指し、各学部?学科が英語で開講する専門科目「学部EMI科目」のさらなる拡充を図っています。
学生の声 Student’s voice
2020年度に学部の専門分野を英語で学んだ学生の声をご紹介します。
グローバルに活躍するための基礎を築くことができた
経営学部国際経営学科 2021年3月卒業
科目名:Business Project
小林 光喜 さん
科目名:Business Project
小林 光喜 さん
1 「Business Project」について
経営学部の3?4年次生を対象とした科目で、協力企業から出された課題に多国籍チームで取り組み、英語でプレゼンテーションをします。今回はベトナムのFTU(貿易大学)の学生らと共に、三菱ふそうトラック?バス株式会社様にデジタルトレーニング戦略の提案を行いました。2 「英語で学ぶ」ことの意義
チームでアイデアを出し合い、議論を重ね、企画を立てる。こうしたプロセスに英語で取り組むことで、英語を使いこなす力が飛躍的に伸びるのはもちろん、留学や海外就職など、グローバルに活躍するための基礎を築くことができたと感じています。また、異なる文化的背景を持つ留学生との意見交換を通じて、国際的視野も身に付きました。英語を使うと世界中の資料や最新の研究にアクセスでき、得られる知識の量が格段に増える点も、英語で学ぶ大きなメリットだと思います。3 専門科目を英語で学ぶための準備
2年次の必修科目「国際経営論」「International Business」の授業では、日本語で国際経営について学んだ後、同じ内容を今度は英語で学びます。そうすることで、スムーズに英語での専門科目に入ることができました。
4 今後の目標
世界で活躍できるビジネスパーソンになることです。そのために日本で社会人としての経験を積んだ後、海外の大学院へ進学して経営をさらに学び、現地で就職したいと考えています。
英語力の向上+議論の場で存在感を放てるように
法学部国際ビジネス法学科4年次
科目名:法学特殊講義(Dispute Resolution)
清水 千聖 さん
科目名:法学特殊講義(Dispute Resolution)
清水 千聖 さん
1 「法学特殊講義(Dispute Resolution)」について
法的紛争の解決手段に関する内容を学ぶ科目で、法学部の2~4年次生が対象です。12人程度で、英語によるディスカッションや実際の紛争解決の場面を想定したロールプレイングを行います。アウトプットの機会が豊富で、自分の考えを積極的に発言?表現できることが魅力です。2 専門科目を英語で学ぶための準備
1年次の必修科目「英語ディスカッション」で身に付けたコミュニケーションのための実践英語は、2年次に参加したアメリカでの語学研修にも生かすことができ、英語で学ぶための基礎を築くのに非常に役に立ちました。3 「英語で学ぶ」ことの意義
授業のテーマの一つである「裁判手続きのIT化」はコロナ禍の下で重要な課題として注目されていますが、先行して取り組まれている海外の文献には目の覚めるようなアイデアが詰まっていてワクワクします。また、英語で学ぶ授業には、留学生も含め意欲的な学生が多く、彼らに刺激を受けて「自分もディスカッションに貢献したい」と強く思うようになりました。英語を使って学ぶことで、結果的に英語力の向上だけでなく、議論の場で存在感を放てる自分になれて成長を実感しています。
4 卒業後の目標
大学での私の成長は、英語を使って学ぶという挑戦をしたからこそ得られたもの。その語学力と国際貿易の知識を基に、国境を越えて人々の暮らしをより豊かにできる仕事がしたいです。
ますます充実する英語学習環境
英語カリキュラム改革を行う一方で、グローバルな学びを強化するさまざまな施策を進めています。より充実した英語学習を後押しする取り組みの一部をご紹介します。
留学生受け入れ新制度「Rikkyo Study Project」
2022年9月より開始する「Rikkyo Study Project」(RSP)では、入学時点で日本語能力試験N3程度の学生を受け入れ立教の教育課程で日本語能力の向上を図る「NEXUS Program」と、入学時点で日本語能力を求めず英語による授業のみで教育課程を構成する「PEACE Program」の2つを設置。これまで以上に世界のさまざまな国?地域から多様な文化的背景を持つ外国人留学生がキャンパスに集うことで、国際交流はさらに活性化し、学内での英語学習もより豊かなものになります。
先進的な教育?研究を担う外国語教育研究センター
2020年4月、先進的な外国語教育?研究活動を担う機関として、「立教大学外国語教育研究センター」を開設しました。同センターが重視するのは、多様な学問分野間の交流、多様な言語間の交流、理論と実践の交流という「3つの交流」。多様な専門性?言語?バックグラウンドを持つ教員が刺激し合い、研究活動で得た成果を授業で実践するサイクルを確立することで、理想的な外国語学習環境の創出を目指します。
より英語に重点を置いたコースの設置
「英語による学びを究めたい」「海外でも学びたい」。そのような学生に向けて、専門分野の全てを、または多くを英語で学び、長期留学も経験できるコースを設置しています。
- 異文化コミュニケーション学部Dual Language Pathway(DLP)
- 社会学部国際社会コース
- 法学部国際ビジネス法学科グローバルコース ※2022年4月開設予定
- Global Liberal Arts Program(GLAP)
Topic 英語新カリキュラム特設ページと紹介動画
英語新カリキュラムに関する情報を、特設ページで詳しく紹介しています。RPG風のストーリー仕立てによる紹介動画も掲載していますので、ぜひご覧ください。
キャンパスでできる国際交流
立教大学では、キャンパス内における外国人留学生との交流の場所?機会が充実しています。異なる言語や文化的背景を持つ学生との触れ合いは、自分の価値観を広げるだけでなく、身に付けた外国語能力を試し、さらに伸ばす貴重な機会となります。今回は、キャンパスでできる国際交流に関する取り組みの一部をご紹介します。
※2020年度以降は新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、見合わせている、もしくはオンラインで実施している取り組みがあります。
※2020年度以降は新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、見合わせている、もしくはオンラインで実施している取り組みがあります。
グローバルラウンジ
ビフォーコロナのグローバルラウンジ
日常的な異文化交流の促進や海外留学に向けた支援を目的とした「グローバルラウンジ」を、池袋?新座の両キャンパスに設置しています。
同施設では、外国人留学生と外国語で会話を楽しむ「ワールドカフェ」、英語を使って立教生同士で自由に交流できる「English Lounge」、外国人留学生が自国を紹介する「カントリーフェスタ」など多彩なイベントを開催してきました。
コロナ禍においては、対面での国際交流が困難な中でも多くの学生にグローバル体験を提供できるよう、オンラインを活用した多様なイベント?取り組みを行っています。
同施設では、外国人留学生と外国語で会話を楽しむ「ワールドカフェ」、英語を使って立教生同士で自由に交流できる「English Lounge」、外国人留学生が自国を紹介する「カントリーフェスタ」など多彩なイベントを開催してきました。
コロナ禍においては、対面での国際交流が困難な中でも多くの学生にグローバル体験を提供できるよう、オンラインを活用した多様なイベント?取り組みを行っています。
オンラインクリスマスパーティー
主なオンラインイベント
など
- オンラインワールドカフェ
- オンラインEnglish Lounge
- 留学生による国紹介
- 協定校学生との交流イベント
- 海外体験紹介
- Study Abroad Weeks
など
国際交流ボランティア
立教大学では外国人留学生サポートを行う「国際交流ボランティア」制度を設けています。
主な活動内容
など
主な活動内容
- 交換留学生の来日時の出迎え?住民登録
- オリエンテーションサポート
- 日本語授業サポート(留学生が受講する日本語授業へのゲスト参加など)
- 留学生のバディ(Buddy=グループを作り、留学生の生活サポートを行う)
など
※本記事は季刊「立教」257号(2021年7月発行)をもとに再構成したものです。定期購読のお申し込みはこちら
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
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